第2教棟の特徴

2022年10月7日 07時00分

特徴1 第2教棟は、二つの建物からできている

     玄関前の教室配置図には、一つの建物の図になっていますが、

    実は建築科教棟と理科教棟は別々の建物なのです。それが一つに見えるの

    は、エキスパンションジョイントというものでつながれているからです。

     下の中央の写真でもわかるように、左の黒っぽい柱の建物が建築科教

    棟、右の明るい柱の建物が理科教棟です。エキスパンジョイントを外す

    と、隙間が空いています。ものを落とすとアウトです。

 エキスパンジョイントの役割は、①不整形な建物を構造的に切り離した際の離隔距離を埋めるため、②免震層の変形による離隔距離を埋めるため、③温度応力の変形による離隔距離を埋めるためとされています。が、簡単に言うと、ものが隙間に落ちないようにするためです。

特徴2 第2教棟の廊下は、熟練の左官職人によるテラゾー仕上げでできている

    最近の廊下は、ビニルタイル仕上げが主流になっています。しかし、第2教棟は古い建物なので真鍮を埋

   め込んだとてもきれいなテラゾー仕上げとなっています。小石を磨いた床には、現場テラゾー仕上げと研ぎ出

   し仕上げがあります。最大の違いは、練り合わせる種石の大きさです。テラゾーで使用されるのは15mmのふる

   いを通過する大きさの種石を使います。まだ固まらないコンクリートの上に種石を敷き詰めて研磨していきま

   す。それだけに種石という素材の持ち味を十分に活かした、より意匠性の高いテクスチュアが表現できるもの

   となっています。
    

特徴3 建築科教棟の壁には、杉板の木目がある

    鉄筋コンクリート構造(RC造)は、鉄筋のまわりに型枠を設置し、その中にコンクリートを流し込んだ建物の

   ことです。最近の型枠は、表面がツルツルした黄色い合板を使います。これは、コンクリートが固まった後に

   型枠を解体しやすいためです。しかし、建築科の建物はとても古いので、型枠に杉の板にグリスを塗り、それ

   を型枠に使っています。ですから、型枠を取り外したら杉板の模様が残ってしまうのです。時代を感じます

   が、授業に使うとてもよい教材になっています。

 

     左の2枚の写真が建築科の建物です。右の柱は理科教棟の柱です。なお、柱にある丸い模様はわざと作った

   ものではなく、型枠内にコンクリートを注入したとき、型枠が膨らんだりしないようにするためのセパレータ

   ーという鉄筋に装着しているコーンを取り除いた跡です。デザインのための丸い跡ではありません。

    松工に来たときには、是非、この杉板の模様を見に来てください。過去にタイムスリップした気分になるか

   もしれません。

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